Webの最優先顧客が人間からAIに変わる
CloudflareとVercelのMarkdown for Agents、GoogleのWebMCPまで。読み取りと書き込みが同時に標準化され、Agent-Native Web時代が幕を開けます。
Webが変わりつつあります。人間ではなく、AIエージェントが読み書きしやすい方向へ。
この2週間でCloudflare、Vercel、Googleがそれぞれエージェント親和型のWeb標準を発表しました。サービスを作る立場から、この流れが何を意味するのかを整理してみました。
Markdown for Agentsは「読み取り」問題を解決した
AIエージェントがWebページを読む際、最大の無駄はHTML、CSS、JavaScriptです。人間の目には必要ですが、エージェントにとってはトークンの浪費でしかありません。
CloudflareとVercelが提示した方法はシンプルです。同じURLにAcceptヘッダーの値をtext/markdownに変えて送るだけで、サーバーがMarkdownに変換してレスポンスを返します。HTTP標準に既にあるcontent negotiationの仕組みを使っているため、新しいプロトコルは不要でした。
重要ポイント
- VercelブログではHTML 500KBがMarkdown 2KBに縮小(99.6%削減)
- CloudflareはProプランからダッシュボードのトグル一つで有効化可能
x-markdown-tokensヘッダーで変換後のトークン数も一緒に伝達- 別サイト不要、一つのURLで人間とエージェントに同時対応
WebMCPは「書き込み」問題に正面から取り組む
読み取りだけでは不十分です。エージェントが予約ボタンを押してフォームを埋めるには、これまでDOMを直接解析する必要がありました。UIが変わればエージェントがすぐに壊れる構造でした。
GoogleがChrome 146に搭載したWebMCPは、発想そのものを覆します。Webサイトが「このページでできること」をJSON Schemaで宣言すれば、エージェントは推測なしにツールを呼び出せます。エージェント専用Swaggerと考えると分かりやすいでしょう。
重要ポイント
- HTML formに
toolname属性を追加するだけで宣言的に動作 registerToolAPIでSPAのような複雑なアプリにも対応可能- 従来のMCPがサーバー側プロトコルなのに対し、WebMCPはブラウザ内で動作
- Chrome 146アーリープレビューで既にテスト可能(ヘッドレスは未対応)
この二つの動きが同時期に出たのは偶然ではない
Markdown for Agentsが「コンテンツをエージェントに効率的に読ませること」なら、WebMCPは「ページ機能をエージェントが正確に使えるようにすること」です。読み取りと書き込みが同時に標準化され始めたのです。
この二つが定着すれば、エージェントはWebを人間のように探索するのではなく、APIのように呼び出す世界が来ます。Agent-Native Webの構築が始まったということです。
- robots.txt以来20年ぶりにWebとボットの間の契約が書き換えられる時
- トークンコスト削減の圧力が標準化のスピードを加速させている
サービスを作る人は今すぐ始められる
全面改修は不要です。Cloudflareを使っているなら、ダッシュボードでMarkdown for Agentsのトグルをオンにするだけ。既存のフォームにtoolname属性を実験的に付けてみるのも良い出発点です。
今すぐできること
- Cloudflareダッシュボードの Quick ActionsでMarkdown for Agentsを有効化
- 既存のHTML formに
toolnameとtooldescription属性を追加テスト - Acceptヘッダーベースでエージェントトラフィック比率のロギング開始
- llms.txtとMarkdownサイトマップの並行運用を検討
まとめ
robots.txtが20年前のボットとの最初の契約だったとすれば、今は二番目の契約が始まる時点です。今すぐエージェントのために設計するチームが、次のWebを手にします。
参考リンク
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